第6章 ハジメテ
インターホンではなくドアを叩くなんて、アイツしか居ない。
あの恐怖が再び訪れるかと思うと、呼吸がうまくできない。
「はっ、はぁっ、は、ぁっ……はっ、はっ……」
「ミカさん?? どうしたんスか??」
急に呼吸が乱れる私に戸惑う飛雄、それに追い打ちをかけるかのようにドアを叩く音は止まない。
「はっ、はっ、はっ……」
私は耳を塞ぎ、自分の殻に閉じこもろうと試みるが頭の中にまでドアを叩く音が響いてきてめまいをおぼえた。
「ミカさん? ミカさん??」
なんだか、飛雄の声すらも遠くに聞こえ、視界がグルグルと渦を巻き、重力を感じたかと思えば強い衝撃が身体中を激しく襲った。