第2章 どうぞお好きな松を
『ふぁ~、気持ちー』
湯船に肩まで浸かる。
今日1日の疲れがぶっ飛びそうだ。
庭の草むしりにお使い。
で、そのお使いの帰りに妖に絡まれ…
変なの着けられ…
明日も来いと言われ…
先が思いやられる…。
はー。今までこんなこと無かったんだけどな~。
異例だ。異例すぎる。
…いっそ取ってしまおうか。
………できねーよ!!
普通に怖いわ!
ふぅ…
そう言えば………
脳裏にあの時の事が過る。
妖とのファーストキス……しかも濃いやつ…
『……いやいやいや!!何で!何で今思い出した!?
は!?何考えてんの自分?!』
「廉ちゃん大丈夫?大声出して。
もしかしてお風呂熱かった?」
心配そうなおばぁちゃんの声にハッ…と我に返る。
『だっ、大丈夫!!気にしないで!』
「そお?なら良いけど…」
おばぁちゃんの足音が遠ざかって行き、安堵する。
危ない危ない。もし此処が自宅だったら近所迷惑になるとこだったわ…そろそろ出るか…
私は浴槽から立ち上がり、風呂場を後にした━━…
パジャマはTシャツに短パン。
ザ・ラフな格好だ。
ばふッ…と布団にダイブする。
フカフカでほんのりお日様の匂い…
良く眠れそうだ。
動きたくないが一度立ち上がり、部屋の電気を消す。
布団に寝転がり薄い掛け布団を掛け、目を閉じる。
そして私の意識はあっという間に深く沈んで行った。