第1章 ルカBDSS【知り過ぎた日】
おまけ
数日後--------
黒の兵舎に一通の手紙が届いた。
「ルカー、お前宛に手紙だぞ?」
談話室にいたルカの元へ、シリウスがやって来た。
「……ありがとう」
ルカは封筒に視線を落とす。
見たことのある筆跡に嫌な予感をさせながら封を切った。
流れるようなさらさらとした文字で
手紙は書かれていた。
「親愛なるルカへ
先日は偶然誕生日に会えて嬉しかったよ。
しかも反抗期もようやく終わったみたいだね。
早く別れの挨拶を済ませて兄様のところへ戻って来なさい。
誕生日プレゼント、沢山用意して待っているよ。
p.s.あんなに素直で可愛らしいルカは久しぶりで兄様とても嬉しかったよ。
ヨナ・クレメンス」
「ん、どうした?ルカ」
手紙を持つ手が震えているのを見てシリウスが声を掛けた。
そこへ絶妙なタイミングでアリスが現れる。
「あ、ルカ!シリウスさんも…あの、今クッキーを焼いて紅茶を淹れようかと思うんですけど良かったら一緒に………」
「………アリス」
ルカが冷え切った目線を向けてくる。
「ど、どうしたの?」
「………入れ替わった日…ばか兄貴に会ったの?!」
「!!」
アリスは固まり、そしてゆっくり明後日の方を見上げると
「………あ、そう言えばフェンリルに頼まれごとされてたから…行かなきゃ……」
「待って!アリス……!」
談話室から逃げるアリスを、ルカがダッシュで追いかけた。
「やれやれ………」
シリウスはため息をつきながらも嬉しそうに微笑みながら、じゃれ合う二人の背中を見守っていた。
おわり。