第8章 Dear 神田切甘裏【幸せですかの続編】
―――…
日本の春の象徴である桜がずっと並ぶこの道を、
私はまた歩いてる
けど今度は少し違う。
前に、自分の胸に渦巻いていた不安は消え去り、代わりにあなたと歩いてるよ。
ここに咲く桜のように
満たされて、満ち溢れて…
「幸せだよ、私」
「なんだ?いきなり」
嬉しそうに言った私に、隣にいたユウはキョトンとした表情で尋ねた。
けど私はわざと答えない。
ユウといるこの幸せが、いつまでも続いてほしいから…
代わりにあなたの腕に抱き着いて、寄り添うように歩いた。
指を絡めれば、二つの指輪がカチリと小さな音を立てた。
「この病院に来るの久しぶりだなぁ、一ヶ月ぶり?」
「男か女かわかるくらいに成長してたらいいな」
ユウは柔らかく微笑んだ。
そうだ、と私はユウを見上げた。
「私ね、赤ちゃんの名前を決めたんだ!」
「もうか?」
「うんっ…男の子でも女の子でもいい名前がいいなって思って」
「……どんな名前なんだ?」
この幸せがいつまでも続きますように、願いを込めて―――…
“永遠(とわ)”…
…End