第1章 三日月 神田 切甘裏
「ん…」
「気がついたか?」
「…ユウ?」
いつの間にか気を失っていたのか、目を開けると愛しい人の顔があった。
「悪い、あの後散々求めちまって…身体は拭いておいたから」
そういえば、嫌なべたつきがない。
自分の眠っている間に身体を拭かれたのは少し恥ずかしいが、これも彼の優しさだとわかると、くすぐったい気持ちになった。
「何笑ってやがる」
「フフ、別に~」
「変な奴」
こうして同じベッドで寝ているととても安心した気持ちになれる。
「綺麗な三日月…」
「ああ…」
窓の外からそんな二人を見守るように大きな三日月が浮かんでいた。
「ねえユウ…」
「あ?」
「気をつけてね…」
「フッ…お前も、頑張れよ」
頑張るよ、貴方の為にも…──
…End