第6章 オキザリス 神田切裏
「ハッ……」
「ハァッ…ハァッ……」
「何がそんなに悲しい…?」
繋がったまま、神田を見ようとはせず、はシーツが濡れる程の涙を零していた。
「…俺はそんなに頼りないか?」
違う、違うよユウ
ユウを、ユウを傷付けたくないから…
もう、傷付きたくないから…
は無言で神田自身を引き抜くと、神田の唇と自分のそれを重ねた。
「…ユウ」
「………」
「愛してるから…」
だから、これ以上何も聞かないで
これ以上あなたの顔を見たら、きっと言ってしまうから…
神田は無言でから離れた。
そして服を着て風呂場へ向かう。
「ユウ…」
「…俺はお前に隠し事は一切してない。
お前がいつか話してくれる時を、俺は信じてる」
また、涙が溢れた
「今日のお前は俺を愛していたか…?」
そうして神田は部屋を後にした。
俺を愛していたか…?
ううん、快楽に溺れようとしていただけだった…
ただ自分が受けた傷を塗り潰そうと…
最後のユウの悲しそうな顔…
私はユウを傷つけたんだ
あなたを傷つけまい、傷つけまいと思ってはいたのに…
結局私は勝手だ…
独りで背負い込んで、
温かい手を振り払って…
「ふっ…く…」
さっきとは別の、涙が流れた。
これは謝罪。
みんな私のせいで傷つけた…
「ゴメン…ごめんねユウ…」
大丈夫、明日はいつもの私でいるから…
あなたを今以上に愛しているから…
でも、本当はね…
ユウ、
痛いよ 愛しいよ…
気付いて、きづいて…
心が、壊れてしまう前に.....
…End