第6章 オキザリス 神田切裏
「、もう昼過ぎよ?こんな時間に起きるなんて、昨日は眠れなかったの?」
翌日、が自身の部屋から出てきたのは昼の刻をずっと過ぎた頃だった。
「うん…ちょっとね。具合が悪かったの」
「そういう時はゴーレムを使って連絡してね?身体にいいものを部屋まで持って行くから」
「ううん、もう部屋に戻る所だから…」
「は無理しちゃう方だから、私もアレンくんも心配してたのよ…?」
ギクッと、忘れようとしていた事が思い出される。
(アレンくん…駄目、意識しちゃ)
「どうかしましたか?さん」
その時、今1番聞きたくなかった声を聞いた。
肩を震わせて、その人物を向いた。
「おはようございます…って言ってももう昼過ぎですけど」
いつもの柔らかな笑みを浮かべて、アレンはそこに立っていた。
「あっ…」
「どうしたんですか?顔が赤いですよ?」
いつもの彼のようで、彼じゃない表情はの心を一層凍り付かせた。
「、具合悪いんですって。アレンくん、を部屋まで送って行ってあげてくれる?」
「!?」
背筋が凍り付いた。
身体が、震える。
「もちろんです。僕がを看病しましょう。」
わざとらしく、紳士を装うアレン。
身体とは素直なもので、本人が言葉を発するよりも先にその場を走り抜けて行った。
さん!とアレンが自分を呼ぶ声がしたが彼を振り返ると昨日の事を思い出してならなかった。
一度も留まる事なく自室に飛び込んだは、ベッドにうずくまる途端に泣いた。
「ううう…っ!」
忘れろと思えば思う程に、の中であの行為は思い出された。
出来ない
忘れるなんて、
「出来ないよぉ…」
早く、早く帰って来て…
ユウ…