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songs(R18)

第32章 ep6 繋心のワルツ





一体、
自分は何処へ向かっているのだろう…

気がついたら会場を飛び出し、この美しいイルミネーションの庭まで走ってきた。


ただ、あそこにいたくなかった。

見たくなかった。
ユウが、知らない女(ひと)と踊っている所なんか。


12月の肌寒い冬風が白いドレスを貫いていく。

けれど、その肌に容赦なく刺さる痛みよりも、この胸に渦巻く心の痛みの方が、現実味を感じた。



「!」

の腕を、誰かが背後から引いた。

「やっ…」

まだ進もうと心は思うが、腕を掴む力は強く、は仕方なく抵抗するのを止めた。

そして滲んだ涙を拭い、俯いた。


「…ヒールなのに足速ぇから焦ったさ」

と、荒い息を整えながら赤髪の青年:ラビは言った。

「………」

「こんな所いたらまた熱出すさ?早く屋敷に…」


そう言いながらラビはの腕を引く。

けれどは無言でそれを振り払う。

「……っ…」

ラビは息をついて、涙を溜めている少女を見つめた。


何かを必死で我慢しているような、痛々しい表情…
それが溢れるのを拒むようには夜空を見上げた。



「わかってた。私なんかがあの人とは釣り合わないって事くらい」

「………」

「綺麗で、沢山の人から好かれそうだなって、最初はそんな風に思ってた」


淡々と話す。
けれどそこから、彼女の表情は一点して曇ってしまった。


「でも時間が経っていくうちに、あの人の事が、どんどん頭に浮かんで……側にいたいって思うようになって…っ」


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