第30章 ep4 皆が変わる日
「ほんと…どうして…」
はユウを向いた。
「ちっ…ちゃんと見ろ…」
そう言うと、ユウは何故か背中を向けて、読書を始めてしまった。
ユウに言われた通り、二人は・ピュアリスの名前をくまなく探した。
「あ、あったさ!」
「…専属使用人?ユウ様の…?」
は目を丸くした。
“専属使用人”…あるとは聞いていたが、歴代の使用人達の中でその地位に上がった者はいない。
「これって…どういう…」
「凄い地位さ専属のメイドって!仕事衣は変わるし使用人長と同じくらいの権力はあるさ~」
二人しての昇格に、ラビは満面の笑みを浮かべる。
はまだ理解しきれていない様子で、ユウを見つめた。
「…本当に、私が頂いていいんですか?こんな地位…」
は戸惑いがちにユウに問うた。
ユウは振り返る事はしなかった。
「明日から早々、存分にこき使ってやる」
「またまた~ユウちゃん素直じゃないさ~」
ニヤつきながらラビはユウの顔を覗き込む。
その端正な顔に拳が食い込んだのは、言うまでもない。
(私が…ユウ様の専属…)
特別な存在になれる…
何故だろう…嬉しいのに、
彼の側にいられるのに…
鏡の中の自分は、笑えてなどいなかった…