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songs(R18)

第29章 ep3 貴族の事情





(私…何やってるんだろう…)


ユウ様の大事な猫を探すのに、こんなにも掛かっている。

これじゃあ、彼が、チェシャーがいない事に気付いて探しに来てしまう。

そうならない為に、今、自分が探しているのに…


そう、彼の悲しむ顔が見たくないから…



結局、自分は何をやっても駄目だ
いつも無鉄砲に走っていく。
後で後悔するのは自分なのに…



「頑張ら…なきゃ…っ」

ゆっくりと、は身体を起こし、服についた雪を払った。
だが、

「………っ!」

何時間も歩き続けて、身体が悲鳴を上げている。

精神的にも、目眩を覚え始めた。

情けない…

これじゃ、彼に褒めてもらえない


(お花…早く作ってあげたい…)


早く、彼の笑顔が見たい…


でも、もう駄目みたい…

(私…此処で死んじゃうのかな…)

動かない身体を仰向けにして、は夜空を見上げる。

(最後に、貴方に会いたかったのに…)



でも…

こんなに貴方を想うのは、何故?

貴方に会いたいと思うのは、


何故…?




「!!」


抱き起こされる身体、
ぼんやりする脳内に響く、声

そして…


「ユウ…様?」

どうして…?



ああ、怒ってるのかな…
黙って探していたから…


でも言ってしまえば貴方が悲しむから…


「何やってる!おい、大丈夫か!?」



怒ったり、

心配してくれたり…

普段の貴方とは、まるで別人みたいな…


でも…それが…


「本当の…貴方…」

はそのまま気を失った。


「おい!しっかりしろ!」


ユウは何度も、の身体を揺する。


「ー!!」




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