第1章 三日月 神田 切甘裏
「あ、ユウ!」
「テメェ、俺のファーストネームを呼ぶんじゃねぇ!」
「もういいじゃない、幼なじみなんだし」
「誰がお前と幼なじみなんだっつの」
「ユウしかいないでしょっ
──それより、コムイさんが呼んでたよ。
また新しい任務じゃない?」
「チッ…」
神田は小さく舌打ちをした。
「はいはい、面倒臭がらずにさっさと行く!」
はそう言って神田の背中を押す。
「チッ、俺に触るな」
「だったらさっさと行きなさいよ!」
最終的には蹴りを一発打ち込むを一睨みして、神田はコムイの元へと向かった。
「相変わらず仲良いですね」
背後の声に振り向くとアレンとリナリーが立っていた。
「全然!犬猿の仲みたいなもんよ」
「でもあの神田と本気で喧嘩できる女の子ってくらいよ」
リナリーの言葉に内心嬉しさを滲ませる。
みんなより神田との距離が短い、そう思うだけで特別な存在になった気がする。
「そういえば、今度の長期任務、じゃなくて神田が行くって本当ですか?」
「え?何って?」
アレンの質問に質問で返したを見て、アレンとリナリーもまた首を傾げた。
「何って、の代わりに神田が行くイノセンスの回収よ。確か場所はアジアの密林…」
「え、そんなの知らない…」
は言った。
「うそ…神田からに伝えてって言ったわよ?」
聞き覚えがなかった。
は何故自分に言わなかったのかという神田への疑問で足早に司令室に向かったーーー・・・