第24章 らいおんハート 神田切甘裏
「神田…さん」
「ぁあ?」
振り向いた先には見知らぬ少女が立っていた。
探索隊の服を纏っている事から、黒の教団の人間だとわかる。
「何か用かよ…」
低い声と鋭い目で、その少女を見据える。
少女は息を呑んだが、腹をくくるように神田を見つめた。
「あの…私、神田さんの事が好きなんです。もし良かったら…」
「興味ない」
最期まで言わせず、神田は言葉を挟み、踵を返した。
「待って下さい!…私も、他の子たちと同じでいいです」
神田は少女を振り向いた。
少女は頬を赤らめ、言った。
「神田さんに好きになってもらえなくても…身体だけでもいいんです!」
この少女で、何人目だろうか?
俺に身体だけでもいいからと寄って来る女達は…
「良いぜ…俺の部屋に来いよ…」
だが、拒まない。
少しでも、あいつを忘れられるならば誰でも良かった…
ーーー・・・
「ぁっんっ…神田…さん…っぁ」
抱いてる最中はこいつらとあいつを重ねる。
そしたらこいつらの放つ耳障りな声も、あいつの声と錯覚できる。
快楽であいつへの想いを塗り潰せるなら、俺は…
見せかけの恋に、嘘を重ねる…