第20章 Time goes by 神田切裏
―――…
「おい、さっきラビと何を話してた?」
「煩いわね。仕事の事だし…私が誰と話してたって良いでしょ?」
「はっ、どうだか。最近、馬鹿兎とよく一緒にいるみたいじゃねぇか」
は鋭く神田を睨みつけた。
「私が浮気してるとでも言いたいの…?」
「図星だったか?」
神田はさらりと言う。
「私は浮気なんかしてない!」
「信用できねぇな」
神田は、まるで嘲笑うようにを見下ろした。
は泣きそうな表情で、神田を突き飛ばした。
「馬鹿!もう別れる!」
は捨て台詞にそう吐いて、その場を立ち去った。
の足音が聞こえなくなる頃、神田は呟いた。
「馬鹿はお前だろ…馬鹿…」
いつも、この繰り返し…
会えば喧嘩ばかり…
絶える事なく、くだらない事でもいらいらして…
二人、ぶつかり合う
いつからだろう?
ユウが笑わなくなったのは…
ユウに笑わなくなったのは…
私達は、恋人同士。
手を繋いで、キスをして…
お互いの愛を確かめている。
けど…どうしてだろう…
それだけじゃ物足りない…
それだけじゃ、ユウの愛を理解できなくなっていた…
もっと満たされたい…
いつからか私は、歪んでいった…
ユウに求めた事もあった。
最初のうちは、そんな私を受け入れてくれたユウ…
けれど身体を重ねる度に、ユウは私に不信感を抱いていった…
それからは、事態はどんどん悪くなって…
話す回数も減っていった
忙しいフリして、
お互いを避けて…
別れる、なんてまるで口癖のように…
もちろん、本気で別れたいんじゃない…
自分の、独りよがりだ
「別れたい」って言えば、ユウが止めてくれる、そんな気がしたんだ…
でも、彼は何も言ってはくれない
隙間は広がるばかり…
「行くな」とかはもちろんだが、「別れる」とも言ってくれないから…
正直、
どうしたら良いかわからない…
もう、
彼に好きと言えるのかも曖昧だ…