第14章 SNOW KISS アレン切裏
しばし無言だった二人。
すると、から口を開いた。
「私ね、ノアだから人間が嫌いだった。
でもね、あなたに会って、良くされて、愛されて…初めて人間になりたいって思ったの」
「………」
「人間だったら、ずっと、ずっとあなたの側にいられたのにって…本当にそう思ったんだよ?」
はアレンを見上げて、ニッコリ微笑んだ。
「あなたが大好きだった。
優しく私を見つめる瞳も。
敬語を使わないぎこちない話し方も。
私を抱き上げる腕も…
本当、に…っ」
は涙を流した。
「だから…っ」
はアレンの頬に手を添えて、
「さよならなんて、言わないで?」
口付けを交わした。
重ねた唇はすぐに離れ、まるで雪のように淡かった。
は駆け出した。
扉へ、帰るべき場所へ…
震える手で取っ手を開き、中に入る。
扉は雪のようにあっという間に消えて無くなった。
「…」
アレンは涙しながら、光の粒子となり、冬の空へ上がる扉を見つめていた―…
「愛してる…!」
雪は、まだ降り続いてる…
唇は、
まだ温もりを残していた………
…End