第9章 どうして君を好きになってしまったんだろう 【Dear番外編】
パシッ…
歓声が上がる。
がドレスをたくし上げてそのブーケを取った人物へ歩み寄る。
「……!」
は目を見開いた。
そこに立っていたのは、白髪の少年だったからだ。
けれど、どこかそんな気がしていたのか…は目を細めて微笑んだ。
「久しぶりだね、アレン君」
「…あの…僕は」
「あなたのお陰で、私達…本当の愛を知る事ができたと思うの。
アレン君も、一緒だと思う…」
「………」
「私はたくさんの人に支えられて、今やっと幸せなんだって思ってる。
アレン君の気持ちには応えられなかったけど、あなたはそれでも私を愛してくれた…」
ありがとう、とはアレンに手を差し延べた。
アレンはそれを聞いて、何かが解放されていくのを感じた…
「…、僕は…
あなたにずっと謝りたかった…っ
あなたは優しかったから、僕のせいで傷ついて…
でも、もう大丈夫です。
心の整理がやっとつきました」
アレンは強くの小さな手を握り返した。
「いい瞳…もう、その瞳の中に私は映ってないみたいだね」
「え…?」
「…本当は、重ねていたんでしょ?私とリナリーを」
アレンは目を見開いた。
「今のアレン君の瞳は、もうちゃんと…リナリーを見ているんだよ」
「リナ、リーを…?」
やっと、気付いた…
身体を重ねた時、自分は全くの名前を呼んでいなかった事を…
いつも自分の側にいてくれた人
いつも自分を励ましてくれた人
自分が本当に守りたかったのは…
愛し過ぎて気付かなかったのは…
“アレン君…”
彼女だった…
リナリーが
僕が一番愛した人…