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【テニプリ】a short story.【短編集】

第6章 【菊丸】遠くを見つめる




声をかけるのも憚られる雰囲気の中、そっと、見上げる。いつも明るくて、ムードメーカーで、みんなの弟分のような存在の英二が、たまにこうして、吃驚するほど大人びた空気を纏うのを知ったのはいつだっただろう。

それを初めて見つけた時、思わず見惚れたのを覚えている――それまでただの男友達、それどころか可愛いペットくらいの順位にいた英二が、自分の心の大部分を支配するようになった。

英二はいつも皆の輪の中心に居て、誰からも好かれている。明るくて、ひょうきんで…でも、こんな姿を知ってる人はどれ程いるのだろう?その答えはわからない、けれど、願わくば多くないと嬉しいな、と思う。



テニス部の過酷な活動の中、レギュラーを張って、この前は全国優勝まで果たしてしまった彼は、恐らく私よりも、どのクラスメイトよりも、沢山の経験を先に積んでいるのだ。それは、きっと酸いも甘いも。


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