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【テニプリ】a short story.【短編集】

第4章 【跡部】こんな未来が有るのかも知れない





「やあ、ごめんね、いきなり」


そう言って微笑む男子生徒を訝しげに観察する、そしてその肩に背負われた、よく見知った物を見つけた。


「それっ!テニスラケット…もしかして、テニス部員っ?」
「え?そうだけど、気付いてなかったの?氷帝の松元さん」


何故自分の名前を、と驚いたその瞬間。


「なーにしてんのっ、不二っ!と、あれー?氷帝の松元ちゃんじゃん!」


とさっ、と音を立てて何処からか飛び降りてきた?らしい、猫目の男子生徒。ただ飛び降りるだけじゃない、地面に手を付きくるっと一回転してのド派手な登場だ――その姿には、流石に見覚えがあった。


「あっ…がっくんと、回転対決してた人…?それでそっか、そっちは、ジロちゃんに勝っちゃった人!!」


「あの夏」が鮮やかに蘇ってくるような感覚。去年の大会では、残念ながら氷帝と青学が当たる事は無かった…今年こそは、と練習試合でさえ意気込んでいた皆を思い出す。


「ちょっ、ちょっとその覚え方はひどいにゃー!俺は菊丸英二っ!そっちは不二周助、だよん」
「そうだ、今日は跡部が来るって言っていたね。松元さんも一緒に来たんでしょ?コートなら、あっちだよ」


にぱ、と笑う菊丸くん。そしてジェントルな不二くん。うちのダブルスコンビたちに負けず劣らず良いコンビネーションを見せつけられ、成程、皆が好敵手と言うだけある、と思った。



不二くんと菊丸くんの案内で歩いている内、よく聞き覚えの音が聞こえてきてぎょっ、とする。聞き間違えようもない、この重たい、地面に響く音は――


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