第2章 月夜に咲くのは甘い花
「一緒に歩くだけなんだからいいだろう・・・」
この2人は、ホント揃ってギャーギャーと・・・
絶対だぞ!歩くだけだぞ!そう言い残して、2人とも清水先輩のあとを追いかけて行った。
「最後の最後に、しっかり釘刺して行ったな・・・」
そらの手を引きながら、全くもうと息を吐く。
『縁下さん、あの・・・』
急に立ち止まり、そらが俺を見上げた。
「何か忘れ物でもした?」
『えっと、ちょっとだけ・・・』
内緒話をするように、俺に屈めと小声で言われ、言われるままに屈むと・・・そらが少し背伸びをして一瞬だけ口付けて来た。
「・・・イチャイチャ禁止って言われたのに」
思わず口元を押さえながら、モゴモゴと言ってみる。
『だって、私は禁止って言われてないから』
クスクスと笑いながらそらが西谷達の後ろ姿をチラリと見た。
「参ったね・・・ホント・・・」
不意をつかれた驚きと、イタズラっ子の様なそらに・・・顔が緩んで行くのが止められない。
「やられた・・・」
『驚きました?』
「とっても、ね」
空いた手で顔を押さえて、秘密の出来事に胸を弾ませる。
西「おーい!お前ら遅いぞー!」
『いま行きまーす!』
俺の代わりに返事を返して、そらが俺を見る。
『早く行かないと、また言われちゃいますね』
「そうだね・・・アイツらしつこいからなぁ・・・」
お互い顔を合わせて笑い合う。
『行きましょうか?』
そう言って笑うそらの髪で、小さな鈴がチリンと音を響かせた。
~END~