第35章 水とワイン/Água e Vinho【おそ松/マフィア松】
《愛菜side》
クイーンサイズのベッドに投げ出され、身体が沈む。オソマツさんが片手でネクタイを緩めながら、膝をついた。
緊張しすぎて、心臓が口から飛び出しそう。
「愛菜も早く脱げよ……」
低めの声で囁かれる。
「で、でもっ、明るいですし……」
「そっか。暗いほうがいい?」
こくんとうなずくと、オソマツさんは照明を二つ消した。部屋の隅に置かれた間接照明だけが残り、仄かな光が彼の姿をぼんやりと浮かび上がらせる。
「暗くなっただろ? もう俺が脱がしちゃおっかな〜」
再び膝をつき、きしむベッド。
オソマツさんがそっと私の髪にキスをする。
「だ、大丈夫です……自分で脱ぐので……」
「いいって。力抜いて」
頬にキスされる。同時にワンピースの袖を肩から抜かれた。中途半端にずれていたブラジャーも奪われる。
「あんまり見ないで……」
「え〜! ムリムリ! 見たいもん。俺、すげぇエロいから」
チュッと胸の膨らみを強く吸う音。キスマークをつけられた。
「きゃ! オソマツさん! 痕はつけちゃだめっ!」
「なんで? もう愛菜は俺のもんだろ?」
次々と吸われ、花が咲くように胸元に痣がつけられていく。
「じゃあ、私もオソマツさんにつけていいですか? 私だけなんて不公平ですもん」
「は!? 俺!? いや、やめてよ! ドンがそんなのつけてたらカッコつかないだろ!?」
「だめですっ」
起き上がってオソマツさんの首筋に唇をつけた。思い切り吸い上げると、こぼれる彼の吐息。
顔を離すと、私はできたばかりのあざを指でなぞった。
オソマツさんと一緒にいることを選んだ。家族を裏切り、婚約者を切り捨てて。これはその決意のしるし。
「あ〜あ、明日からどうすんだよ。絶対これ弟たちにからかわれるんだけどぉ」
苦笑いしながら首をさするオソマツさん。
「私だって明日から胸元の隠れた服を着ないといけないんですよ?」
「そんな必要はないだろ? 堂々と見せておけよ。『私はオソマツさんの女です』って」
ワンピースを腰から脱がされ、太腿を撫でられる。ガーターベルトも外された。