第34章 イジワル上司の松野さん【トド松】
「っ……松野さん……」
暗闇の中で視覚が遮断されている分、手先の感覚が研ぎ澄まされている。松野さんの勃起したものの形が手に取るようにわかった。
やだ……大きい……。
自分の中に挿入されれば、ぴったりと隙間なく膣を埋め、壁を擦りながら奥へと進むのだろう。いや、埋めるどころか私の膣の形まで松野さんの形に変えられてしまうかもしれない。
ついリアルに想像してしまい、子宮の奥が熱く疼いた。松野さんに羽交い締めにされ、激しくピストンされたらすごく気持ちいいんだろうな。
……なんて、口が裂けてもいえるわけがない。こんなこと考えているなんてバレたら、もう恥ずかしすぎて二度と顔も見れないよ。
きっと閉じられた空間という非日常にいるから、変な気を起こしてるだけ……。じゃなきゃ、なんで意地悪な上司とこんなことしたくなるの?
「ねぇ、もっとちゃんと握ってほしいな……」
松野さんが私の手を押さえて屹立を握らせた。もしかして、心の中を見透かされてるんじゃないかと不安になってくる。
「っ……」
松野さんのすごく熱い。興奮してるの? 私に? 本当に?
「奥田くん、ボク……」
耳にかかる熱い息。この状況に抗えない。私も欲しいなと思ってしまっている。きっと松野さんも同じ気持ち……。
「あ、あの、松野さん、ベルト、外しても――」
そのとき、突然目の前が明るくなった。
「え?」
松野さんが目を細めて見上げる。
私も我に返ってケージ内を見回した。照明が復活したようだ。同時にエレベーターが重い音を立てながらゆっくりと下がりだす。
「あ! 動いてる!?」
慌ててブラウスのボタンを締めると、ケージはすぐに止まりチャイムとともに扉が開いた。
「ご無事ですか!?」
警備員が二人飛び込んでくる。
そのうしろにはデカパン課長や数人の社員の姿が見えた。
「松野さん! 大丈夫ダスか!? どうしたダス? 気分でも悪いダスか!?」
私たちは抱き合ったまま、ポカンとデカパン課長を見つめていた。あまりに突然すぎて、何が起こったのかよくわからなかった。