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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第34章 イジワル上司の松野さん【トド松】


「奥田くん、この書類全部チェックしておいてくれる? 昼までに」

ドサッと紙の束が目の前に置かれた。顔を上げると、上司の松野トド松さんが立っている。

「あ……はい。わかりました」

「ま、全部終わらなくてもいいよ。できたところまでで。残りはボクがやるから。新人には期待しても無駄だろうし」

え……? 何、その言い方……。

固まった私を一瞥すると、松野さんはさっさと自分の席に戻っていった。

誰かのデスクでけたたましく電話が鳴っている。すぐに出る男性社員。

「お待たせして申し訳ありません。赤塚商事の内川です。はい……お世話になっております……はい……はい……」

あちこちから高速でキーボードを打つ音が聞こえてくる。本棚から書類の入ったファイルを抜き、慌ただしくコピー機に向かって走っていく女性社員。

仕事に追われる先輩たちを眺めてから、私は改めて目の前に積まれた書類を見た。

これをお昼までに全部? 無理だよ……。かといって、やれなかったら「やっぱり」ていわれるんでしょ? それも癪……。

ちらりと松野さんを見ると、眉間にしわを寄せてPCを睨んでいる。

あ〜あ。せっかく就職したけど、この先やっていけるかすごく不安。自分にこの職場は合ってるんだろうか? というか、私って上司に嫌われてるの?

でも、やらなきゃ永遠に終わらない。やるしかない。

書類の山から一枚取って仕方なくチェックを始めると、隣の席の一子さんがこっちを向いた。

「あらぁ、大変ね〜新人さん」
小声で話しかけてくる。

「は、はい……」

一子さんは少しミステリアスで大人の雰囲気もある女性だ。隣の席ということもあり、よく声をかけてくれる。別の部署にいる十四子さんという派手な女性と仲がいいらしく、よく一緒に歩いているのを見かける。

一子さんは呆れたようにため息をついた。
「かわいそうに。よりによって、松野さんの下なんて。あの人、少し前は新人にもすごく優しかったんだけどねぇ」

え? 

私は手を止めた。

「優しかった? 松野さんが?」

信じられない。私には冷たいのに。

「そうよぉ。実は奥田さんの前に弱井さんっていう新人の女のコがいてね。美人だったけど仕事ができないコでね〜。いわれなきゃ動かないし、すぐ寝るし、最終的にバックレて急に来なくなっちゃったのよぉ」


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