第32章 咲き乱れよ愛慾の長春花【逆ハー/三国志松】
「こんな国に来てしまった今は、天下なんて忘れたほうが利口ですよ」
諭すように語りかけてくるチョロ松。
「楽しめ」
ひとこと強く発したのはカラ松。
「天下、無理なものは、無理」
一松。
「あはー! もーいいじゃん! 早くしよーよ!」
十四松が笑顔でいった。
この人たち……本当に人生を楽しもうとしている。最初はバカバカしいと思ったけれど、考えてみれば悪くない。これからの世に必要なものは、覇道ではなく生を楽しむ生き方なのかもしれない……。
フフッと笑みがこぼれる。
父のいっていた意味がわかったかも。肩ひじ張っていた自分がバカみたいだ。
私は顔を上げた。
「わかった。もう難しいことは忘れる。旅先でハメを外すのも悪くないかもね。うるさくいう人たちもいないし! みんなで楽しみましょう」
「「「「「「!?」」」」」」
六人がギョッとのけぞった。
コソコソと小声で何やら相談し始める。
(お、おい。このおねーさん、なんか急に開き直ったんだけど? なに? 気味わりぃ〜)
(よくわからんが、やる気になったならいいんじゃないか?)
(でもなぜこんなに晴々とした顔をしているのでしょう? 何か企んでいるのでは……)
(女、急に、やる気、怖い)
(セクロス!? セクロスしてもいいの!?)
(とにかく理由はわからないけど、その気になってくれたならいいんじゃない? 脱童貞のチャンスなんて滅多にないでしょ。しかも、こんな美人と!)
(((((たしかに!)))))
結論が出たのか、六人は顔を上げた。コホンと咳をしてみんなを代表するかのようにチョロ松が前に出る。
「で、では……我たちと……その……ワチャワチャと愉しんでくれるということでよろしいか?」
「はい」
「嫌がらず受け入れてくれるのだな?」
「ええ」
うなずいた瞬間、
「「「「「「やったぁぁーー!!」」」」」」
六人が一斉に服を脱ぎ捨て飛びかかってきた。
「きゃあっ!?」
床に押し倒され、一番に飛び込んできたおそ松帝に抱きしめられる。その上から重なってくるチョロ松。背中からカラ松が腕を回し、胸を鷲掴みにされた。トド松が私のお腹にしがみつき、ヘソに唇を当てる。十四松がキスしてきた。