第30章 熱帯夜【逆ハー】
「愛菜ちゃん、大丈夫? 今拭くから!」
十四松さんが荷物の中からティッシュを探し、丁寧に拭いてくれる。
「ありがとう」
私はふにゃりと笑った。まだなんとなく恋人気分、えへへ。
「なぁなぁ、次は俺だよな? 俺の番だよな!?」
おそ松さんがすかさず覆いかぶさってくる。
「う〜ん……」
考え込んでしまった。
「なんでそこで悩むんだよ!?」
「眠くなっちゃった……」
「うそぉ!?」
目を擦りながら、彼の下半身をちらりと見る。まだしっかりと勃ちあがり、収まりそうにもない。
「なぁ、眠たいなんて言うなよぉ。いいだろぉ? 俺もう限界。な? な?」
おそ松さんが甘えた口調で頬に何度もキスしてくる。なんだか可愛い。
「でも……」
「大丈夫! 動くのは俺だし!」
「なら、ちゃんとゴムをつけてください……」
「ゴム!? 十四松はつけなかったのに!?」
そのとき、パッとテント内が明るくなった。
「「「!?」」」
三人とも一斉に目を瞑る。
「へぇ……おれたちが寝ているあいだに楽しそうなことしてるね……」
なんとか薄目を開けると、一松さんがのそりと起き上がるのが見えた。
「さすがハニーは淫乱だな。オレたちだけじゃ物足りなかったのか?」
カラ松さんも起き上がる。
明るくなったのは、テント内に置いた小さなランタンを一松さんがつけたからだった。準備のときに借りてきてくれた品だ。
「なんだよ、おまえら! 頼むからおとなしく寝ててくれよ。俺はこれからなの!」
おそ松さんがシッシッと手で払う。
「あんたらが大きな声出すから起きたんですけど?」
一松さんが不機嫌そうに眉をひそめた。
「そうだぞ。さすがに目が覚めた。ハニー、眠いんだろ? おそ松はいいから寝たらどうだ?」
「おい、カラ松、寝るのをすすめるな! ってか、おまえらみんなヤッたんだろ!? ずりぃよ!」
おそ松さんが悔しそうに叫ぶ。
「なら、ハニーの言うことをちゃんと聞いて避妊することだな。まあ、オレはしなかったが」
カラ松さんが荷物を探り、避妊具を出した。