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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第26章 大人の社会科見学【一松】


***


「愛菜先生、この間のパン工場の引率は大丈夫でした?」


職員室で先輩に話しかけられ、私は振り向いた。
「はい、とても楽しかったですよ」 


「へぇ〜。よかった。心配はいらなかったみたいね。ところで、今日この後、時間ある? 職員みんなで飲みに行こうって話になってるの」


私は首を振る。
「すみません。今日はこれから予定があるんです」


「そうなの? でも、この前も用があるって言ってたよね? まあ、いいけど……」


先輩は不思議そうに首を傾げたものの、それ以上は詮索することもなく、「じゃあ、またね」と席を離れていった。


私は荷物をまとめると、足早に園を後にする。車を走らせ、着いた先は大きな白い建物。門の横に停めて、インターホンを押す。


『はい?』
男性が出た。


「奥田です……」


『ああ、あんたか。また来たの……。ヒヒッ、本当に馬鹿な女……。今、開けるから……』


パン工場の門がギギギと錆びた音を立てて開く。建物の中から白衣を着た一松さんが出てきた。 


「一松さん、こんにちは……」


私の言葉に一松さんはにっこりと笑う。


「はい、こんにちは。それでは今日も大人の社会科見学を始めましょうか……。ちゃんとお勉強していってねぇ、奥田先生?」


「はい、よろしくお願いします……」


私はもう離れられない。彼の『お勉強』から。心も身体も支配される心地良さ。一度味わってしまったら、またすぐに食べたくなる。まるで焼き立てのパンみたいに――。


見慣れた車庫の中に入っていく一松さんの後を追う。背後で門の閉まる音が響いた。





―END―











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