第25章 おめでと♡サマー仮面【カラ松】
仮面をそっと外す。出てきたのは汗まみれになったカラ松くんの顔。もちろん、どっちも大好き。だって、カラ松くんもサマー仮面も私の大切な恋人だから。
波の音に身を委ねながら、私たちはゆっくりとキスをした――。
広い砂浜に置かれた白いビーチチェアとテーブル。氷はすっかり溶け、生温くなったジュース。その傍らで小さなラジオから音声が漏れている。
『……速報です。歴史を覆す重大な発見があったと赤塚大学考古学チームが5月24日付けで正式に発表を行いました。新たな発見があったのは、東京都赤塚区の不二古墳。古墳の壁画に5人の男性の絵が描かれていることが分かりました』
私たちはラジオの音を気にすることもなく、ただひたすらにキスを繰り返す。
『……絵に描かれていた男性たちは、現代のパーカーのような服を着用しており、ロウソクを立てたケーキのようなものを取り囲んで大騒ぎをしていたということです。また、絵の横には英語の文字が記されており、これが本物であれば4世紀初頭の古代日本で英語が使用されていたということになります。まさに世紀の大発見です』
私はふと顔を離し、カラ松くんを見た。
「ねぇ、このニュースって、もしかして……」
カラ松くんがニヤリと笑い、また仮面を被った。
「だから言っただろう? 今回のサマーフラッシュはブラザーたちが過去にタイムスリップしてしまうほど強烈だった、と。まあ、あいつらならどの時代でも楽しむだろう」
海風に吹かれながら、ラジオは喋り続ける。
『……発見された英文字は13文字のアルファベットで、こう記されていたそうです。
“Happy Birthday”と……』
―END―