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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第22章 大統領には押させない!【トド松】


「奥田さんっ! 奥田さん、早く! 引き出し閉めて! 今のうちぃい!」


トド松補佐官の悲痛な叫び声が執務室に響き渡る。


私は大統領の机に向かってスライディングをキメると、素早く引き出しを閉めた。


危ないところだった。うっかり押してしまえば、シャレにならない事態になる。


息をついて振り返ると、トド松補佐官はまだ新大統領と格闘していた。

 
「押させてダス! 1回だけ! 1回だけダスから!」


昨日、大統領に選ばれたばかりのパンツ一枚の男――デカパン大統領が必死に叫ぶ。


「バカか、あんたは! 1回だけって、1回押したら全部終わっちゃうんだよッ!」


大統領側近の一人、トド松補佐官が顔を真っ赤にして返す。


私は溜息をついて、二人を眺めた。


大番狂わせとはまさにこのこと。国民の考えていることは本当に分からない。昨日行われた大統領選挙の結果は、まさかの穴馬、ノリで出馬したデカパン氏の圧勝。歴史に残る大統領選となった。


そして、今朝、執務室に現れた新大統領は、まず初めに大統領の机の引き出しの中にある『あのボタン』を押そうとしたのだった。


「大統領、お願いですからお静かになさって下さい。公務中ですよ?」


私が声をかけると、デカパン氏は暴れるのをやめて口を尖らせた。


「ホエホエ〜。だって、せっかく大統領になったのに、つまらないダスよ〜。ボタン押してみたいダス!」


「つまらなくていいんです。大統領とはそういうものですから。ボタンは押さないでください。戦争を始めるおつもりですか?」


トド松補佐官も頷く。
「奥田補佐官の言う通りですよっ。ボタンのことは忘れてお仕事しましょう!」


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