第20章 アクアリウムに沈む愛【カラ松、おそ松】
「あ……わたし……」
ハァハァと息をつきながら、焦点の定まらない目でオレを見つめる愛菜。彼女の裸体が汗で光る。
おそ松……オレは愛菜を手と口でイカせたぞ? お前と違って、挿入せずに、だ。
「っ……」
オレは無性に泣きたくなる。
綺麗だ、愛菜。いつまでも見ていたいくらいに。オレはお前をイカせることができて満足だ。ああ、なのに、なぜだ? 何でまだこんなに苦しいんだ?
「カラ松くん、どうしたの……?」
愛菜が心配そうに見上げる。
オレは無言で服を次々と脱ぎ捨てると、愛菜に覆い被さった。
まだ熱い身体。柔らかくしなやかな肌。豊満な胸の膨らみがオレの胸板に押し付けられる。
「愛菜……」
オレは愛菜の裸を強く抱き締める。彼女の身体は細く小さく、これ以上力を入れると壊れてしまいそうだ。
「大丈夫……?」
愛菜の戸惑う声。
大丈夫だ、ハニー。オレは何だって受け止める。なぜなら、オレは世界一優しい男だからだ。例え、お前がオレを捨てても甘んじて受けようじゃあないか。
そう考えながら、口から出たのは思いもかけない言葉。
「愛菜……行かないでくれ……」
「え……?」
「頼む……。おそ松のところに行くなんて言わないでくれ……。オレはもう愛菜がいないとだめなんだ……」
どこからか水の音。オレは目を閉じる。
これは幻聴か? ああ、そうか、ここは水槽の中だったな。オレは一生ここから出られない。狭い空間で永遠に漂うだけだ。
分かっていたことなのに、愛菜に弱音を吐くなんて、オレは一体どうしたんだ? 縋るなんて馬鹿げている。カッコよくないじゃあないか。