第18章 バスルームのひみつごと【十四松】
「でも、十四松くん、好きな人がいるって言ってたのに……」
ふと思い出して尋ねると、十四松くんはニコニコと私の頭を撫でた。
「うん、いるよ! ぼくが好きなのは、愛菜ちゃん!」
好きな人って、私のことだったの?
こんなことってあるんだ……。夢みたい……。
温まりながら幸せを噛み締めていると、十四松くんは私を抱き締めた。
「ねぇねぇ、愛菜ちゃん。今日、泊まってもいい?」
「いいけど……松代おばさんが心配しないかな?」
「大丈夫! 電話するから! むしろ、孫できるまで帰ってくるなって言われそう!」
「は? 孫!?」
ふわふわの泡に包まれながら、私たちの他愛ない会話は続く。デカパン博士、胡散臭いなんて言って、ごめんなさい。私は十四松くんに聞こえないようにまたひとつ泡に願い事をした。
『十四松くんとずっと一緒にいられますように』
―END―