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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第1章 彼はお医者さん【一松/医者松】


《一松side》


「一松先生、診察手伝ってよ」
内科のチョロ松先生がおれの診察室を覗いて言った。


「は?」


「皮膚科はこの時間、患者さん来ないんでしょ? しばらく閉めてさ。こっちは、予約外の患者さんが多くて全然回ってないんだよ」


いやいやいや、何言ってんだよ。
おれは呆れたようにチョロ松先生を見た。


「……無理。内科なんて」


「いや、診れるでしょ? 一松先生、少し前まで内科も診療してたし」


「それ、おれの中では遥か昔だから。最近、皮膚しか診てないから。おれなんかに診られるとか患者は地獄だから」


「何、ワケ分かんないこと言ってんの? ちゃんと診れるって知ってるし」


「…………」


「赤塚印のプレミアム猫缶を20個」
 

「やる……」


高級猫缶に釣られて、おれは内科の診察を手伝うことにした。仕方なく、皮膚科を一時的に閉め、内科の空いている診察室へうつる。


大体、回らないなら人増やせよ……。


「……ちっ、めんどくせぇ」 
几帳面に片付けられたデスクの上で、ぼやきながらカルテに目を通す。


「あ、看護師さん、次の人呼んで……」


「分かりました。次の方どうぞー」
看護師が待合室に向かって声をかける。


ドアが開くと、同い年くらいの若い女性が入ってくるのがちらりと見えた。


「はい、どうされましたー……」
カルテに目を落として、ろくに顔も見ずに聞くと、女性が「あっ」と声を漏らした。


「もしかして、一松くん?」


反射的に顔を上げる。


「あ……愛菜?」


「うん、久しぶり! 一松くん、お医者さんになってたの? びっくり!」
女性はニコニコと笑う。

 
変わってねぇな……。


目の前にいたのは、紛れもない、高校時代に密かに片思いしていた愛菜だった。


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