第12章 超洗剤クリスマス【チョロ松ルート】
目の前のチョロ松くんは、某イケメン俳優みたいにカッコいいけど、私の求めているチョロ松くんではない。
どうして何回やっても上手くいかないんだろう?
「何か足りないのかな……?」
私はチョロ松くんを眺めた。記憶って案外曖昧なのかもしれない。視覚だけじゃなくて、もっとこう……いつものチョロ松くんを連想させるような……。
「そっか! 匂い!」
私はチョロ松くんに抱きついた。
「え? え? え? 愛菜ちゃん!? ただでさえキスで我慢できなくなってるのに、今くっつかれたら……」
真っ赤になって焦るチョロ松くんを無視して、私は彼の胸に顔を埋めた。
そう、これだ。チョロ松くんの匂い。
見た目は変わっても、匂いは変わらないよね。だって、今ここにいるのは紛れもないチョロ松くんなんだもん。
私は目を瞑る。優しく穏やかな匂いに包まれて、自然と頭にいつものチョロ松くんが浮かんできた。少し困ったように眉を下げ、優しく笑うその姿。
うん、今なら上手くいくかもしれない。
私はもう一度薬を飲む。
「チョロ松くん……」
キスをしようと顔を向けると、チョロ松くんが息を呑んだ。
「っ! 愛菜ちゃん……! そんな色っぽい顔して……! もう、すっごく好きぃっーーーー!」
……私も大好きだよ、チョロ松くん。
怒っているところも、困っているところも、笑顔も、はにかんだ顔も、ちょっとライジングしちゃうところも。全部全部が愛おしい。
私はチョロ松くんを想いながら、彼の唇に自分の唇を押し付けた。
たぶん、お互い我慢の限界だったんだと思う。
途端にチョロ松くんが私の肩を強く掴み、食べてしまいそうな勢いで唇を貪る。私もそれに応えて、チョロ松くんの唇を甘噛みしながら、舌を這わせた。