第9章 かんじて♡サマー仮面【カラ松】
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「すっかり暗くなっちゃったね……」
夕闇に染まっていく海を見ながら、私たちは車に乗り込んだ。
「これ、割れないようにちゃんと持っててね」
お揃いのグラスが入った袋をカラ松くんの膝にそっと乗せる。
「ああ、任せな、ハニー」
さあ、帰らないと。エンジンをかけ、車を発進させようとした途端、助手席から「ウェイト!」と叫ばれた。
「な、なに?」
慌ててまたパーキングブレーキをかける。
「あ、えっと……さ、最後にちょっとだけ……」
言うが早いか、カラ松くんは運転席の私を引き寄せ、キスをしてきた。
「んっ……」
甘い刺激が再び走る。
「カラ松くん、こんなことしてたら出発できないよ……早く帰らないと……」
唇を離して笑うと、また引き寄せられてキスをされる。
「んっ……んっ……んんっ……んっ……」
積極的な舌が身体に残った熱を呼び覚ます。
カーステレオから流れるアナウンサーの声。
「……アメリカ西海岸で漂着した日本人と思われる5人の成人男性が発見されました。5人は全員裸で日本語でしきりに『オーなつやすみ』『脳を溶かして2000サマー』などと意味不明な発言を繰り返しており……」
カラ松くんが手を伸ばし、カーステレオの電源を切る。
「ハニー、何年待ったと思ってるんだ……頼む、もう少しだけ……」
甘い声が私の心を潤していく。
もう、仕方ないなあ……。
カラ松くんの首に腕を回す。まだサマーは終わらない。窓の外から聞こえてくる夜の潮騒。私たちは飽きることなく何度も唇を重ね続けた。
―END―
追記
【続編情報】
サマー仮面の誕生日ストーリー
第25章『おめでと♡サマー仮面』
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