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妖狐の籠

第1章 狐


「狐さんのお名前聞いてもいい?」


顔をあげた千夏が我に問う


「それは我も其方の名を知ることになる故
とても危険とて」


「えっ、そうなの?どうして?」


「『狐』が相手の真の名を知れば
そやつを魔力で操れてしまう」


もちろんこれは

我が狐珀と気づかれぬ為の偽


「そうなの!?
狐さんは魔力も使えるの!?
見せてよ!」


目をキラキラさせる千夏


「ならば、見せてやろうぞ」


我の手を千夏の頭の上にかざし

魔力をかける

すると魔力にかかった千夏は

目を閉じて眠る


「知りすぎても困る故
許しておくれ千夏」


我の魔力で眠った千夏を

壊れ物を扱うかのように

丁寧にそっと姫抱きに抱える

あどけない千夏の寝顔をじっと見る


長きまつ毛に

綺麗な白き肌

柔らかい頬

艷めく桜色の唇


…嗚呼、全てが愛おしい

今すぐにでも千夏をこのまま閉じ込めて

誰にも見られることなく

我だけが見ていれば良い




「…これも許しておくれ」




千夏の桜色の唇に

そっと口づけを交わす
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