第1章 狐
「まずね!狐珀は美人!
あんなに綺麗な男の子は見たことない!」
千夏の真っ直ぐな視線で
我の事を説明される
「狐珀はね、小さい頃からずっと一緒なの!
私の家がこの山の近くにあって
友達の家に行くのも遠いから
いつも遊んでくれてすっごく楽しい!」
千夏が楽しんでいるなら
我もこの上なく嬉しい事
「あっ、でもねちょっと不思議な事があって…」
不思議な事…?
我が『人』に化けきれていないという事かえ?
「狐珀って学校行ってるのかなって思って…
いや、流石に行ってると思うんだけど!
あんなに綺麗だったら…
彼女とかいないのかなぁって思うし
それならなんでいつも
私と遊んでくれるのかなぁって…」
もじもじと答える千夏
それは…
我に好意を抱いていると考えてもよかろうか?
「狐珀の事は好きなのかえ?」
そう千夏に問うと
月明かりで照らされて
ほんのり頬を紅くし
「わからない…
そうかもそれない…」
先程までの元気は何処へやら
膝を立てて顔を埋める千夏
愛らしいその姿に
我はただ愛おしく見つめる