第4章 夏
嬉しさのあまり狐珀に抱きつく
私はここまで走ってきたから
少し汗ばんでいるというのに
狐珀はほんとに人間なのかな…?
っていうくらい、とても綺麗で…
ん…? あっ…!!
「ごっ、ごめん!
私、汗かいてて気持ち悪いよね…!」
そう気がついた後に
すぐに離れようとした
けれど…
「そんな事ないよ
千夏のいい匂い…
このまま抱きついてもいいでしょ?」
私よりも大きくて
いつも間にか男の人の身体になっている
背中に回される腕は
力強く私を抱きしめる
まるで狐珀から逃げられないような
狐珀は昔からこんな感じだった
でも幼い時はさほど気にならないし
そもそも男の子としてみていなかった
でも、いつからだろうか
狐珀がいないと寂しいと思い始めたのは
一緒にいたい
声も聴きたい
常に隣にいて欲しいなんて
私だけが思っているのだろうか
狐珀は幼い頃の延長でこんな感じなのか
意識しているのは私だけなのかな…
好きなのにな…