第3章 化猫
日に日に歪んでいく結界
やがて多くの妖怪は
結界に近づこうとせず
『人』の世へも
以前より行かなくなっている
「『天狗』様
この結界はどうすれば直りますか?」
多くの妖怪が
統である『天狗』様に聞くも
分からないと答える
でも、私と右烏は
狐珀が則を無視したせいで
こうなってしまったと知っている
狐珀は持ち前の魔力で
犯人が自分だと
気づかれないようにしている
…早く、あの少女を引き離さないと
そう思って私は『人』の世に行き
狐珀を観察するも
まぁ、あの少女と離れる様子も無く
寧ろ自分の籠に入れているようだ
「面倒な事をするにゃよ…」
私はいつものように
歪んだ結界を通り『人』の世へ行く
辺りは暗く
闇が山を包むような
私たち『化猫』は夜目が効く
暗い所でも問題ない
四足歩行の猫の姿になって
いつも狐珀がいる祠へ向かう
…またか
またあの少女がいる
こんな時間でも一緒にいるの?
でも、狐珀は『人』に化けていない
あれ?何故だ?
今まで、少女の前にいる時は
必ず『人』に化けていたよね?
そうじゃなきゃ、『人』も
私たち妖怪を見ることができな…