第2章 始まりの音
「そのままでいい」
「え?」
「変わる必要ないよ、別に」
「でもッ」
先程言われた事が余程心に傷をつけたのだろう。
あんな男に傷つけられた彼女が可哀想で、出来る事なら本気であの男を殴りたい衝動に駆られる。
「そのままで、いい」
「ありがとうございます」
「いや、マジで・・・そう思うから」
「ふふっ」
泣いている顔が可愛いなんて思うのは不謹慎だろうか?
そっとその涙を拭こうとポケットからハンカチを探すが持っていない。
バタバタ探して結局シャツを引っ張って拭く。
「あ、ごめん」
「ふふふふっ」
「・・・・たこ焼き食う?」
「そうですね!!よし、食べよう!!」
照れ隠しにそう言えば彼女はそれ以上何も言わず笑って賛成してくれた。
食べ終わったりんご飴を袋に入れてたこ焼きを二人で分けて食べる。
雑談しては笑い、まったりとした時間が流れる。
こんな風に女の子といて、こんなに自分のペースと合う子がいるとは思わなかった。
会話している事が楽しい、感覚が似ているのか彼女の言う感想や反応は自分と同じ事が多い。
だから共感できて楽しい。
話に夢中になっていると不意に携帯が鳴る。
「ごめん、ちょっと電話だ」
「どうぞ」
「ごめんね、もしもし?」
『もしもし、じゃないからっ!』
「なに?どうした?」
『どうした?じゃないでしょ!?あなた、どんだけ祭堪能しんですか?』
電話口で文句を言い出したニノに困る。
何か予定でも入っていたのかと考えるがそんな話は聞いていない。
「なんか予定あった?」
『いやないですよ?ないですけどね、松潤がリーダーの様子が変だったとか言うから皆心配してんですよ』
「へっ?そうなの?」
『ハァ・・・まあ、なんか大丈夫そうだね』
「まあ、うん」
『なんか久しぶりに集まって話すかって流れになってるんでそろそろ戻ってきて下さいよ』
「あ、そうなの?わかった」
そう言って電話を切ってハァと溜息つく。
時計を見れば九時を過ぎていて先程まで賑やかだった祭もそろそろ終わりそうな雰囲気だった。
楽しくて時間が過ぎるの早く感じた。
「そろそろ行かないとだ」
「あ、はい!今日はありがとうございました」
「いや、何もしてないし」