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恋心

第2章 始まりの音



 そうして小さく呟かれた言葉に自然と身体動く。
 そっとその小さな体を抱きしめる。

 「悪くない」

 気の利いた言葉なんて知らない。
 決して上手い言葉じゃないだろう。
 だけど、腕の中で泣いている彼女を何とかして慰めたかった。

 『私が悪いんですね』

 その言葉が切なかった。
 誰だって初めてはそうだし、それは決して悪い事じゃない。
 好きならむしろソレ位で良いとすら思う。


 ポンポンと背中を擦れば聞こえてくる嗚咽。
 何だかこちらまで泣きそうになる。
 スッと鼻を啜りながらそっと背中を撫で続けた。



 どれくらいそうしていただろうか、泣いていた彼女がゆっくりと顔を上げる。
 その目は痛々しいくらい真っ赤なり少し腫れている。
 だけど、彼女はキョトンとした顔でこちらを見ていた。

 「?」
 「どうしてお兄さんが泣いてるんですか?」
 「へ?」

 言われてそっと頬に手をやれば濡れる。
 そこでやっと自分が泣いていたとわかり慌てて腕で目元を拭った。
 そして彼女が巾着から取り出したティッシュでお互いに粗同時に鼻をかんだ。

 「ハハハハハッ」
 「ふふっ」

 決して平気になった訳じゃないだろうけど、それでも笑ってくれた彼女に少しだけホッとした。
 それからは少しの沈黙の後、彼女は静かにりんご飴の袋を開けた。

 「食べましょうお兄さん!」
 「え?」
 「はい!」
 「おっおう」

 渡されたりんご飴、彼女に急かされて反射的に袋を開けて中を取り出す。
 そっと齧る音が周囲に響く。
 彼女は再び流れ出た涙を拭きながら、それでもシャリシャリと飴を食べる。

 「ああああもお!!」
 「なっなに!?どうした?」
 「大好きだった!!」
 「!」
 「大好きだったの!!」
 「・・・・そうか」
 「大好きなのにッ」

 男の事が好きだと言いそして飴を齧る。
 それに付き合い自分も齧る。
 相槌を打つのしか出来ない事が少し情けなく感じた。

 「もっと大人になりたい!」

 そう言って再び俯く彼女。
 おの男の言葉を思い出し、眉間に皺が寄る。
 あれが正しいなんて思えない。
 彼女には彼女の良さがあるし、それが魅力だと思う。


 
 
 
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