第2章 始まりの音
業界にいる華やかな女子達と違い、作った様子もない。
気を使わないで話せる、それがとても楽だった。
射的やクジそれにヨーヨー釣り。
久しぶりにこんなに楽しくはしゃいだ。
「お兄さん、釣りってなった瞬間に本気になりすぎですよッ、フフッ」
「いやー、なんかムキになった」
二人とも3つずつ持ち思わず笑った。
それからたこ焼きを買って何処かで座って食べようとしたその時だった。
「えっ?」
不意に立ち止まった彼女、どうかしたのかと思って見れば呆然とした顔でジッと何処かを見ていた。
その視線を追って見るが彼女が何を見ているのわからない。
「どうした?」
そう問いかけても彼女は動きを止めたまま。
何だ?どうした?そう心配した時、彼女の視線がゆっくりと動いて横を見た。
「望君」
「ゲッ、優美」
不意に彼女がそう呟くと自分達の近くで立ち止まる男女がいた。
お互いに浴衣を来て女の方は男の腕に引っ付いている。
何処にでもいるようなカップル。
「お前、なんで」
「望君こそ・・・・その人は?」
「・・・・・」
「望誰その子?」
「大学の後輩」
「ッ」
「そうなんだ?どうも、望の彼女でーす」
更にべったりと男に引っ付きながら女はそう言った。
どんなに鈍感でもわかる。
そして同時に思う。
(コイツ最低)
「ちょっと先行っててくれ」
「えー、なんで?」
「学校のことで話があるから」
「はぁ?もぉ・・・」
そう言って何やらブツブツ文句を言いながら去っていく女。
少し離れた場所に移動する二人。
自分には関係がないとわかってはいるのに何となく付いていってしまう。
屋台と屋台の間の少し開いたスペース。
そこに立って暫くして先に口を開いたのは男のほうだった。
「お前といるとさ、疲れんだよ」
「!!」
「キスするのも一々、ガチガチでさその先なんて一生無理じゃね?って感じ」
「ッ」
「たまには刷れてないヤツでもって思ったけど、1年付き合ってまだキス止まりとかねぇわ」
男がスラスラと話すその言葉にイライラが増す。
言われている彼女はきっとそれを理解するだけが精一杯と言う感じで一言一言に身体を震わせていた。