戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第9章 朧月夜の巻―家康中将-<R18>
先程まで妖艶に誘っていた表情が一変し、幼い雰囲気をまだ残した、あでやかな美貌を持つ娘にしか見えなかった。
「家康様のおっしゃる通り、私はまだ殿方を知りません。でも何も知らないまま、東宮に入内したくないんです。
弘徽殿のお姉様は殿方を知っていてはならぬ、とお怒りになりますけれど」
それは当然だろう。
女御として入内し、将来の中宮や皇后になる娘なら、東宮以外のおとこの手がつくのはもってのほかだ。
しかし、目の前にいる娘は他のおとこも知って入内したいと望んでいる。
「舞」
家康中将は言う。
「これ以上進んだら確実に生娘では無くなる。あんたは将来東宮に入内するなら、猶更おとこを知っていてはまずいだろう?」
「だからこそ、他の殿方を知りたいのです。入内したら東宮以外の殿方を知る機会は、もう無いのですから」
「…そこまで言うなら、俺があんたの初めてをもらうけれど、構わないよね」
少しだけ呆れたような家康中将の声が、舞の耳に流れる。
舞は顔をあげて、家康中将を見て、頷く。
「家康様、私をおんなにしてください。そして入内してからも、家康様を忘れられないようにして…」
可愛らしいおねだりと、そのおねだりする表情が婀娜っぽく、家康中将は自分の熱がまた熱くなっていきつつあるのを感じる。