戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第52章 貴女には頭があがらない ―秀吉中将&若紫―
秀吉は女房に言いつけて人形の屋敷を注文させ、夜は舞と一緒に眠る事にする。
「今日はどちらかに行かれるのではないの?」
どこぞの女人の許へ行くと思ったのがどこにも行かず、自分と共寝をしてくれるという秀吉に舞は喜ぶ。
「おにいさま、物語りを聞かせてくれる?」
「あぁ、何の物語りが良いんだ?」
「竹取物語が良いな」
そんな会話をしながら御帳台へ二人が入ると、女房が二人に着物を被せて御帳台から降り、静かに近くで横になる。
小さな声で秀吉が舞にかぐや姫の話しをし出すのが女房たちの耳にも入り、女房たちは『秀吉様のお声は本当に良きこと…』とうっとりしながら声を聞きながら入眠する。
気付くと舞も眠りについており、秀吉は途中で話しを止める。
着物を掛け直して舞の小さなからだを抱き直すと、ほの甘い舞の好む香がほんのりとまつわりついた。
その香りに秀吉は少しどきりとするものの手を出す訳にはいかず、眠る舞の額に軽く口付けると自分も目をつむった。
『本当に舞には敵わないな』
目をつむった秀吉は内心思い、一人苦笑する。
『早くおおきくなって、俺の妻になってくれよ?』
無邪気な表情で眠る舞に夢を託し、成長した舞が自分のものになるのも間もなくである事を知るのは、もう少し後のこと。
<終>