戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第7章 若紫の巻―秀吉中将-
とうとう、少女を手に入れた。
父宮の兵部卿の宮が迎える直前に、秀吉中将は二条の屋敷の西の対(たい)へ少女を連れて行く。
秀吉中将は一緒に御帳台に入り、少女についてきた女房に咎められるが、まさか幼い少女に手を出すほどおんなに飢えているわけではない。
「こんないたいけな子に、何かする訳ないだろう、安心しなさい」
見知らぬところに連れてこられ、不安な表情を消さない、藤のゆかりの紫の少女。
女房に少女の名を聞く。
「舞姫でございます」
愛らしい名だ。
東の対から女童(めのわらわ)を数人、舞姫付きとして寄越させる。
女童に申し付けて、物語や玩具などを、東の対から持ってこさせた。
持ってこさせた物語に目を輝かせている間に、舞姫の朝の仕度をさせ給う。
仕度が済んだのを見届けて、秀吉中将は出仕するため、東の対へ戻る。
「またじきに戻るが、今度は何を持ってこようか?」
舞姫は真剣に次にねだるものを考え始めた。
その真剣な表情が少女とは思えぬ程婀娜(あだ)っぽく、秀吉中将の心の臓がどくんと跳ねた。