戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第46章 ネタにするな! ―幸村中将&佐助少将―
佐助があっさり答える。
「って佐助、おまえ、こんなの描かれて何とも思わないのか?」
俺は本をばさばさと振り回しながら言うと、佐助はしれしれと答える。
「いや、初めて見た時は驚いたよ。でも何度も見ている内に慣れた。今は結構面白く見ている」
「は?何、おまえ、読者になってんの!?」
俺は佐助の神経を疑う。
「普通は『桐壺』みたいな男女の話しが多いだろう?もしくは『春はあけぼの』みたいなやつ。おとことおとこの睦言(むつごと)は、この清涼殿の中で、実際そういう事が無かった訳ではないのは、幸も知ってるだろう?だからこそ真実ぽくて面白いんだ」
「…意味わからねぇ」
俺は呆れて、本を佐助に戻すと、佐助は袖口に本を仕舞いこむので、俺は聞いてみる。
「それ、どうするんだ?」
「勿論、夜に読むのさ。幸、きみをおかずにして、一人妄想して楽しむんだ」
真顔でそんな事言われたら気味悪くて、俺はずざぁっと後ろに下がってしまった。
「…冗談を真に受けないでくれ。これでもおんなには不自由していないんでね」
佐助はさらりと言うと、肩をすくめ、さ、早く帝の御前へ、と俺を促した。
『おんなに不自由していない、冗談だ』と言っていたが、本当だろうな、俺を夜のおかずにするなよ、佐助、と俺は内心祈るように佐助の背中に問うた。
夜の佐助の寝所にて、ねっとりした音と佐助の色を含んだ吐息だけが聞こえていたのは、佐助一人しか知らない。
<終>