戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第46章 ネタにするな! ―幸村中将&佐助少将―
「幸」
佐助少将の声が後ろから聞こえ、俺は笏を口に当てながら振り向いた。
少し離れたところから、佐助がこちらへ歩んでくるのが見え、俺は立ち止まって待つ。
御簾の中にいる女房達が、俺が側に居るのに気付き、細々と声をひそめて話しているのが聞こえるな。
俺は佐助が来るまで、御簾の中の女房達に話し掛ける。
「何を話しているんだい?」
きゃっ、と嬉しそうな声が複数し、そのうち一人が代表して答えてきた。
「幸村中将様のようなかたと物語り出来ましたら、私達女房にとって幸運ですわ」
「ふぅん、そうなんだ、じゃ、誰か俺と物語りしてみる?」
物語り、つまり俺と寝てみる?と軽口をたたいてみると、中から「きゃぁっ」と歓声があがる。
やっぱり俺って特別に見られてるな、だけど女人と語るより、本当は俺は、馬で野を駆けまわるほうが好きなんだ。
佐助が近くへ来たのを機に、中へ向かって軽く手をあげ、佐助とその場を去った。
「幸村中将様と佐助少将様、いつ見ても麗しくて、絵になるお二人ですわね」
「あのお二人、デキてるって噂があるのですけれど、どうなのでしょうね?」
「え、ほんとう?それ美味しいわね!」
女房達からこんな事を言われているとは、少なくとも俺は知らなかった。
「幸、俺達、女房達に何て言われてるか知っている?」