戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第7章 若紫の巻―秀吉中将-
僧都は話しを続ける。
「大納言には娘が一人おり、宮中に参らせることを望んでおりました。
しかし、本意を遂げずに身罷り(みまかり)、尼になった妹の北の方は、ろくな後見もなく苦労をしておりました。
そして、いつしか、手引きが誰のものかわかりませんが、娘のところに兵部卿(ひょうぶきょう)の宮がお忍びで通われるようになりました」
その娘の父親、兵部卿の宮は、藤壺の宮の兄宮。
あの少女は藤壺の宮の姪だったのか―
それなら似ていて当然。
猶更、秀吉中将は少女を手中に収めたいと望む。
僧都との話しの最後に、徒し(あだし)心ではなく、誠意をもって少女の面倒をみたい、と説得を試みる。
僧都は、秀吉中将が、少女を年頃の娘と勘違いし、一夜の相手とし所望されているのか、と思い込み、そのような年齢ではないから、と丁重に断る。
幼いのは知っている。
その少女をひきとって、自分の理想のおんなぎみに育てたいのだ!
都に帰っても、少女の姿が眼裏(まなうら)から消えない。
だが、静かに時が過ぎ、自分の願いが叶うときが近付いていた。
少女の祖母が病に伏していると知り、秀吉中将は急いで見舞いに訪れる。
祖母は、いつか少女が娘と成長し、秀吉中将のお相手にふさわしい年頃になったら、そのときはお相手に迎えてください、とまだ先の未来について乞う。
それでは、遅い。