戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第44章 愛を探す ―政宗少将&姫―<R18>
俺はあるおんなを探していた。
急いでいるが、ここは宮中、何事も優雅におっとり行うのが高雅とされる。
だから走り回るなんざ愚の骨頂で、俺もその気持ちを抑え、時折すれ違う女房達に優雅に笑みを送って、ゆっくり歩くのだ。
「きゃ、政宗少将様よ!今日も麗しいこと…!」
女官や女房の黄色い声を浴びるのは俺は大好きだ。
しかし、本音を言うと、俺はただ一人、あいつに騒がれればそれで充分だ。
なのに、あいつが見つからない。
帝付きのあいつと従姉である中臈(ちゅうろう)を見付け、声を掛ける。
「舞侍従を見掛けなかったか?」
舞侍従、とは中宮の女房の一人で、俺が愛する、唯一の恋人。
中臈は首を傾げて人差し指を頤(おとがい)にあてる。
「そういえば…今日はまだお目にかかってませんわねぇ」
「わかった、もし舞侍従に会ったら、俺が探している事を伝えてくれ」
「かしこまりましたわ、政宗少将様」
中臈は扇を広げ、ゆったりと微笑むと俺から離れて奥へ入って行った。
…ふーん、さりげなく、俺を誘っているのか。
舞侍従と従姉じゃなかったら、誘いに乗っても良かったんだがな。
従姉に手ェ出して、それがバレたら舞侍従に嫌われちまいそうだ。