戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第43章 再会する愛 ―家康蔵人&姫―<R18>
「驚くのも無理ないです。私、ちっとも内親王らしくないって女房たちからいつも注意されているんです。あちらこちらふらふらするのが好きで、初めてお会いした時も、だから廂の間に居たんです」
「通りで初めて見た顔だった訳か。それにしても俺は、自分の身分を考えずに内親王に手を出してしまったという事か…」
俺はまだ蔵人という身分の低さでありながら、よりによって内親王に手を出してしまった事で、どうしようかと瞬時に頭の中で考えを巡らせる。
「あら、でも、家康様のお父上はもともと大臣なのだから、何ら問題ないでしょう?」
舞がさらりと言う。
「私は家康様と結婚したいって兄上に言うわ。兄上は何だかんだ言って私に甘いんです。家康様の身分なら今はまだ低くても、お家から考えたら将来は何ら問題ないもの、ね」
俺は思った以上に実は奔放な舞に驚いて言葉を失っていた。
「家康様」
声を掛けられ、はっとして舞を見ると、小首をかしげてこちらを覗き込む舞がいる。
「内親王と結婚するのはお嫌ですか?」
「いや、嫌じゃない…驚いているだけだ」
「私は初めて参内なさった家康様をお見掛けしてから、ずっとお慕いしてました。だから家康様と契って、もし結婚出来たら嬉しいのですけれど…」
赤くなって扇を広げて顔を隠す舞が可愛い。
結婚する事になってむしろ俺自身が驚いてしまったが、愛らしいのに閨では煽る程に乱れる舞の姿の違いに、退屈はしないかなと思う俺は何かに感化されてしまったのかもしれないか、と一人考えるのだった。
<終>