戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第42章 戦国源氏のくりすます ―安土城戦国源氏―
「では家康はそのさんたとやらの姿になっておるのか。すると我が中宮たちへの贈り物を持っておるのか?」
その問いに秀吉がさっと帝の側に寄る。
「信長様、中宮様達への贈り物でしたら、こちらで用意してございます。家康が持っているのは家臣達への贈り物でございます」
秀吉は信長にそっと伝えた。
「ほう…さすが、秀吉だな。ではそのあたりは貴様らのやりたい時にやると良い」
秀吉は信長の言葉で、贈り物を家臣へ配るタイミングを、宴席終盤に贈ろうと計る。
『しかし異国ではわざわざ贈り物をする日を作るなんて、めんどくさい風習を持っているものだな』
秀吉は周囲を見回して、一口酒を含みながら思った。
しかしながら、出席している帝や他の者達の表情を見ていると、普段のかしこまった宴の席とは違い、和気あいあいと楽しそうな姿をしていて、秀吉はめんどくさい、と思いながらも、楽しい宴になりそうな雰囲気に、異国の風習は案外気軽に出来るものなのかもしれない、と認識を改めつつあった。
酒を回しつつ、御題を決めて即興で歌を詠む。
舞を披露する者も出て来て、宴は賑やかさの絶頂にあった。
歌も舞も本来は堅苦しい席でのものだが、今日は無礼講でやんややんやと大騒ぎだった。
御簾の中を秀吉が見ると、女御がたもいつもと違う男達のふるまいに笑顔を見せ、付き添いの女房や女官達も、いつも以上に激しく冗談まじりの男達からの求愛が、あっけらかんと大袈裟に応酬されている事に、嫌と言いながらもまんざらではない表情を見せていた。
『へぇ…繕わない姿のおんな達も良いものだな。いつも澄ました顔して見ていないからな』