戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第42章 戦国源氏のくりすます ―安土城戦国源氏―
まず、酒と料理が運ばれてくる。
光秀が冬の狩猟で獲ってきた雉を炙ったものが出され、皆がほう、と感心する。
「この時期の雉とは珍しいな」
「光秀中将が獲って参りました」
帝の声に、秀吉が答えると、帝は光秀に声を掛ける。
「光秀ようやった。この時期にまさか雉が食べられるとは思わぬぞ」
「ありがたきお言葉」
腹の底を見せない深い笑みを浮かべ、光秀は答えた。
「一体どうやって獲ったんだ?」
政宗が光秀に問うが、光秀は人差し指を唇の前に立て、「秘密だ」と教えなかった。
その仕草に、女官や女房達から声にならない嬌声があがる。
「それから、家康、貴様のその恰好はなんだ?」
帝はさすがにはだけた家康の恰好に目を付けた。
「異国のくりすますとやらに欠かせない、『さんた』とか言う者を表現しました」
「…さんた?三成、なんだ、その者は?」
聞かれた三成が答える。
「はい、さんたとは、こどもたちに贈り物を贈ってくれる年配の男性です。くりすますの時だけ出て来て、普段は家にずっと閉じこもっている謎の人物です」
三成の答えに、片手を顎にやり、帝はふぅむと納得したような声を落とす。