第42章 戦国源氏のくりすます　―安土城戦国源氏―

宮中を歩く秀吉に、今度はまた別な声が掛けられる。

「秀吉さん、聞きましたよ」

不愛想に聞こえる声で秀吉が振り返る。

「家康か…」

はちみつ色のふわふわの髪の毛に翡翠色の瞳をした青年貴族が、すっきりとした立ち姿で隠れるように立っていた。

「帝が訳わからない異国の催しを、女人がたの為にやりたいと仰せなのでしょう？」

「よく知ってるな」

「光秀さんに政宗さんも手伝うんでしょう？俺も何か手伝いますよ。あとは何が必要なんですか？」

ぶっきらぼうに嫌そうに言いながら、結局手伝ってくれるという家康流の優しさに、感謝して秀吉は口を開く。

「帝が女人がたに贈るものの選定と、当日異国の衣装を誰か一人が着る事になるのだが、その準備と当日着用だが、どちらが良い？」

「どっちも嫌ですけど、まぁ異国の衣装を着てみたいので、そちらを引き受けますよ」

家康は確認もせず、サンタ役を引き受けた。

「よし、じゃあ、こういう衣装を着るらしい。頼んだぞ」

三成から借りた巻き物を家康に渡す。

その場から去って、贈り物の選定にすぐ入ろうとする秀吉の後ろから、コトンと巻き物を落とす音がし、同時に家康のつぶやく声が聞こえた。

「…こんな衣装とは…三成、コロス」