戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第33章 八ノ宮中君の巻―家康ノ宮と三成ノ君-<R18>
そんなものかしら?私にはよくわからないわ。
家康様は現帝の三番目のおこさまであって、高貴な立場でいらっしゃる事から宇治にお越しになる事は、とても難しいのは私でもわかっているの。
そんな高貴なかたが、見た事もない鄙育ちの私に恋こがれるなんて有り得ないから、あのかたの文は恋する振りをしているもの、そう、私は思っていたわ。
あの時まで。
ある日、夜遅くに三成様はお越しになったの。
おねえさまのところへ行かれたのは当然だと思ったのだけれど、何を思われたのか、今日に限って私のところにも挨拶にいらっしゃるという事で、私の周りでは急いで御簾や几帳など並べ支度をして、お越しに対しご挨拶をしたわ。
女房が先導したのだけれど、何故か灯りも使わず、暗いままいらしたの。
どうしてかと思ったら、女房が『闇夜に乗じて危ないものが牛車を囲んだそうでございます。御無事でいらしたのですが、ご様子がよろしくないようで、暗いままをお望みだそうです』と、教えてくれたわ。
大変、おねえさま、そんな怖いお話しを聞いて、気を失ったりしなかったのかしら?
そんな事を思っていたら、人の気配がし、三成様がいらしたのに気付き、私は居住まいをそっと直してご挨拶をしました。
「わざわざ姉のところからこちらにも足をお運びくださり、ありがとうございます」
女房を介してお越しになった御礼を申し上げたのだけれど、そのまま三成様はこちらに近寄っていらっしゃる。
どういう事?
だって、三成様はおねえさまのお相手なのでしょう?